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【愛着障害編①】愛着障害(アタッチメント障害)を発症したAさんのストーリー

2023.05.23
更新:2024.07.23

リーブラ相談室では、月に1回の「夫婦・家庭問題専門相談日」を設けています。離婚や別居、夫婦関係の不和、それに伴う子どもへの影響や子どもへの対応などのご相談を受けている元家裁調査官が、皆様のご相談のヒントとなる情報をコラム形式でお伝えしています。

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【愛着障害編①】
愛着障害(アタッチメント障害)を発症したAさんのストーリー

今日は、「愛着」に関するコラムの第一回目です。
子どもはおぎゃーと生まれたその瞬間から、自分の周囲にいる一番大切な相手と愛着形成を始めます。赤ん坊は、お腹が空いては泣き、おむつが汚れては泣き、ただただ甘えたくて泣きます。
そんな赤ん坊にミルクを与え、おむつを換え、優しくあやしながら抱っこしてくれるのが多くは母親です。そのような乳幼児からのコミュニケーションを通じ、子どもは母親との信頼関係や愛着関係を築いていきます。そして、母親は子どもの安全基地となり、子どもは戻る場所があるからこそ、安心して冒険に出かけていきます。
みなさんは、よちよち歩きの子どもが虫や散歩中の犬などに興味を惹かれて近づいていくけれど、怖い目にあって泣きながら母親のところに戻ってくるという場面を見たことはありませんか。母親は、子どもを「大丈夫よ」と優しく慰め、子どもは涙が乾くと、また母親から離れて冒険にでかけていきます。
これがまさに適切な愛着関係が形成されている状態と言えます。

しかし、親から虐待を受けている場合や、主な養育者がころころ変わるような環境で育った場合、親が病気で育児がおろそかになっている場合など、親や養育者との関係性において適切な愛着が形成されず、愛着障害(アタッチメント障害)となるのです。

ここから、愛着障害に陥ってしまうプロセスを架空の人物Aさんに登場してもらい、ご説明していきます。

Aさんは、ごく一般的な家庭に生まれた女の子です。Aさんの父親は忙しく働く会社員、母親は専業主婦です。Aさんの母親は、Aさんの誕生を心から喜び、大切に育てると誓いました。
Aさんの母親には、辛い過去がありました。親から虐待されて育ったのです。それもあって、母親はAさんを大切に育てたいと思っていたのでした。

しかし、現実は思い通りにいきませんでした。
母親は、Aさんの泣き声を聞くと責められているような気がして、耳を塞ぎたくなります。授乳やおむつ換えは泣かせたくない一心でこなしましたが、「また泣くのではないか」「泣かせると虐待していると思われる」と半ば脅迫的な思いで育児をしていました。

保健所や児童相談所に育児相談に訪れたこともあります。
そこでは、「そんなに肩ひじ張らなくて大丈夫。気楽に育児を楽しんで。」と言われましたが、Aさんとの時間が楽しいとは思えることはほとんどありませんでした。自分が母親から愛された・楽しかった記憶がないため、Aさんへの接し方が分からなかったのです。お世話はしましたが、一緒に遊ぶことも楽しむこともできず、そもそも笑顔で接することができませんでした。それでも子どもは成長していたため、保健所や児童相談所からも足が遠のいてしまいました。
こうして、Aさんは愛着障害に陥っていきました。

3歳になったAさんは、はたから見ると、明るいかわいい女の子でした。話すのが上手で、見知らぬ人にも元気よく挨拶したり、話しかけたりすることもできます。当初、母親はこんなAさんの様子を見て、コミュニケーション上手な子どもに育っていることに安堵していました。
しかし、幼稚園に入るころになると、母親はAさんに対して違和感をもつようになってきました。
初めて会ったお友達のママにいきなり抱き着いたり、なれなれしく話しかけたりするのです。一方で、落ち着きがなく乱暴になったり、わがままな態度も目立ちます。園の先生からは発達障害かもしれないと言われ、小学校入学前に医療機関の検査を受けることになりました。
そこで、これまでの養育の経過や自分の気持ちも含めて医師に相談したところ、「愛着障害かもしれません」と言われたのでした。

こういったAさんのような症状は、愛着障害の中でも脱抑制型愛着障害といわれるものです。
通常、人は少しずつ他者と信頼関係を築いていきます。何度も会って話したり、遊んだりしていくうちに仲良くなり、大切な秘密を打ち明けたり、悩みを相談できる相手になっていくのです。
しかし、脱抑制型愛着障害の子どもはAさんのように誰にでも馴れ馴れしく接してしまい、相手が奇妙な感じを受けることがあります。一方で、自分に注目してもらいたいがために不注意で乱暴な行動をとったり、思い通りにいかないとかんしゃくを起こしたりします。

愛着障害は、子どものときだけのものではなく、大人になってからもその人の人生に影響を与え続けます。

次回は、Aさんの大人になってからのストーリーを交えて、大人の愛着障害についてお伝えします。

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