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【発達障害と夫婦不和】第2章 離婚協議②~夫婦間で協議できない場合の協議方法~

2024.02.05
更新:2024.01.20

リーブラ相談室では、月に1回の「夫婦・家庭問題専門相談日」を設けています。離婚や別居、夫婦関係の不和、それに伴う子どもへの影響や子どもへの対応などのご相談を受けている元家裁調査官(臨床心理士)が、皆様のご相談のヒントとなる情報をコラム形式でお伝えしています。

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【第2章】離婚協議① ~離婚協議が難しい理由

前回の第2章 離婚協議①では「離婚協議が難しい理由」についてお伝えしました。
今回は、「夫婦間で協議できない場合の協議方法」についてお伝えします。

【第2章】離婚協議②~夫婦間で協議できない場合の協議方法~

 離婚協議の基本は夫婦で話し合うことですが、夫がアスペルガーの場合、前項のようになかなか話が進まないことがあります。家族や友人などに入ってもらい、話し合いをすることもあるでしょう。それでも、家族は自分の娘や息子の味方をしたり、口が立つ夫に周りが飲み込まれてしまうなどもあると思います。

以下では、第3者の専門家をいれた協議の方法を3つお伝えします。

<家庭裁判所> 
 家庭裁判所で離婚調停や別居後の婚姻費用を請求するという方法があります。家庭裁判所というと、何だかハードルが高いように思われるかもしれませんが、そんなことはありません。まずは、管轄の家庭裁判所の代表電話に電話をかけ、離婚調停を申し立てたい旨を伝えてみましょう。関連の部署に回してくれ、申立てに必要な書類や手続きを教えてくれます。

 家庭裁判所を使うメリットは、何と言っても公的な機関が間に入ることで、話が前に進むことです。これまで無視・だんまりを決め込んでいた夫が、裁判所からの呼び出しであれば応じてくれるということがあります。また、「お前が勝手に出ていったのだから、一銭も払わん」等と攻撃的だった夫が、裁判所に行った途端に標準的な主張に落ち着いてくれることもあります。調停に係る費用もほとんどかかりませんし、弁護士をつけなくても調停できる点(もちろんつけることもできます)もメリットです。

 デメリットは、家庭裁判所の調停は別席調停が基本だという点です。コミュニケーションが困難なアスペルガーの夫。その上、別席調停となると、夫との意思疎通は絶望的です。家庭裁判所の調停は、調停委員と呼ばれる男女1名ずつのペアが夫婦の話合いを仲介しますが、調停委員の経験や考え方などは千差万別です。この点においても十分なコミュニケーションが実現できるとは限りません。

<弁護士に依頼する>
 「法的な専門知識のある人が自分だけの味方となって戦ってくれる」ということが一番の強みです。特に、財産分与の内容が複雑だったり、子どもの親権を五分五分で争っているような場合、早い段階で弁護士に依頼することをお勧めします。

 一方、デメリットとしては費用の高さがあげられます。トータルすると60万円~70万円はかかると思った方がいいでしょう(多くは100万円前後かかります)。また、前回の「離婚協議が難しい理由」で述べたように、離婚の気持ちを理解できなかったり、攻撃性が増してしまっている夫からすると「弁護士まで頼んで!」とさらに怒って、夫も弁護士に依頼、紛争性が高まるおそれがあります。

<ADR(民間調停)を使う>
 ADRは民間の調停機関で、いわゆるADR法という法律に基づいて、法務大臣が認証する制度です。

 ADRを利用するメリットは、平日夜間や休日の利用が可能であったり、オンラインの調停が可能であるという利便性にあります。また、家裁の調停委員と異なり、弁護士をはじめとする専門家が調停人を務める点も大きな違いです。

 デメリットは費用面、そして合意書の法的効果が裁判所より弱い点があります。費用は弁護士費用に比べると格安ですが、家庭裁判所の調停よりはかかり、大抵は解決までに数万円が必要です。自治体によっては、ADRの費用の一部負担をしてくれるところもありますので、相談してみてください。合意書の法的効果が裁判所よりも弱いという点については、取決めの内容によって異なります。利用を検討しているADR機関に詳細を尋ねてみましょう。

以上、本章のコラムでは、2回に渡って「アスペルガーの夫との離婚協議」について書きました。
様々な困難が考えられますが、自分らしく生きることを第一優先順位として進んでいただけたらと思います。

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リーブラ相談室では、夫婦関係や家族の問題などのお話を伺うほか、自治体のサポートなどについても、お伝えしています。
一人で悩まず、専門家への相談も検討してみてください。

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