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【弁護士コラム】国際家族編 ~外国籍の配偶者との離婚~

2024.01.20

リーブラでは、弁護士による各種講座や相談室では法律相談を実施しています。
Libraアイでは「弁護士コラム」として、弁護士の皆さん(持ち回り制です)がテーマを設定し、情報提供していただきます(不定期)。

今回のテーマは「【国際家族編】外国籍の配偶者との離婚」です。

【国際家族編】外国籍の配偶者との離婚

 私は、外国にルーツのある人が司法を身近に感じられる社会を作ることをライフワークとして、一般民事事件、家事事件、刑事事件及び在留資格等、様々な類型の依頼に対応しています。
 そのなかで「外国籍の夫と離婚をしたいが、その方法を教えて欲しい」とご相談いただくことがあります。
今回はそのご相談に関する情報をお届けします。

<離婚の方法> 
 協議離婚、調停離婚、審判離婚及び裁判離婚の4つの方法があります。
 このうち、「子どもがおらず親権者を定める必要がない」「財産分与についてもある程度の合意ができている」といった場合、協議離婚がゴールに向けて最も簡便な方法であることは広く認識されています。
 もっとも、配偶者の一方が外国籍の場合、日本で手続きをした離婚が当該国で承認されるにあたり、問題となることがあります。というのも、当該国で協議離婚の制度が用意されておらず、裁判離婚の制度しか用意されていない場合は、日本で行った協議離婚を当該国では承認できないという判断がされることが考えられるからです。
 そうした判断がされる可能性がある場合には、家庭裁判所に調停を申し立てて調停に代わる審判を得る、または、裁判を提起して裁判離婚をするといった方法を取ることが考えられますが、通常は、調停に代わる審判が選択されることが多いと思われます。
 そうすると、次に問題となるのは国際裁判管轄と準拠法です。

<国際裁判管轄>
 「国際裁判管轄」とは、日本の家庭裁判所が、当該事件について判断をすることができるか、それとも他の国の裁判所が判断するべきかといった振り分けの問題になります。
 通常、夫婦のいずれもが日本に居住している場合、国際裁判管轄が問題となることはありませんが、相手方が外国に居住している場合には、個別に日本の裁判所が管轄を持つべきであると主張することになります。

<準拠法>
 次に、当該離婚の事件について、どの国の法律に基づいて裁判所が審理を進めるべきかが問題になり、これが準拠法の問題です。当事者が求めることや家族構成等によって、準拠法が日本の法律になることもあれば外国の法律になることもあります。

<裁判離婚>
 上記のように、離婚をすることについての合意がある場合には、手続的な煩わしさはありますが、それ以上に特に問題となることはないことが一般的です。
 他方、離婚についての合意がない場合は、家庭裁判所での手続きを経なければ離婚をすることができません。国際裁判管轄及び準拠法が問題となることは先程の場合と共通ですが、それに加え、子の親権者をいずれにするか、財産分与の対象となる財産の範囲、また、離婚に伴う慰謝料などは争点となりやすく、裁判が長期化することも多くあります。
 訴訟での離婚判決が確定した後は、役所に判決謄本及び確定証明書等をご持参いただいて離婚届を提出することになります。また、事案により、当該国の大使館や領事館に対し、離婚の手続を行うこととなります

以上のとおり、国際離婚は通常の離婚よりも論点が多く、事案によっては複雑になり得ます。
もし、ご検討されている場合には専門家からのアドバイスが有益だと思われます。

弁護士(東京弁護士会所属) 俵 公二郎

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