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【Libraアイ】改正家族法で変わる子の監護について

2026.03.22

リーブラでは、弁護士による各種講座や相談室では法律相談を実施しています。
Libraアイでは「弁護士コラム」として、弁護士がテーマを設定し、情報提供していただきます(不定期)。

今回のテーマは「改正家族法で変わる子の監護について」です。

改正家族法で変わる子の監護について

 令和6年5月17日、「民法等の一部を改正する法律」が成立し、同月24日公布されました。この改正は、家族に関する法制度を大きく見直すものとなっており、令和8年4月1日から施行されることとなっています。
 この改正においては「共同親権」の導入が注目されがちですが、子の監護に関しても重大な変更が加えられているため、ご紹介いたします。

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1.監護者の権利義務の範囲及び親権との関係性の明確化————————

 現行民法では、父母が協議上の離婚をするときは、子の利益を最も優先して考慮した上で協議により「子の監護をすべき者」を定めることとされています(現行民法766条1項、同2項)。
  もっとも、現行法では、監護者の権利義務の範囲や、監護者以外の親権者との優先関係について明文の規定がなく、解釈に委ねられてきました。 新民法では、この点が明確化され、監護者は、「子の監護及び教育、居所の指定及び変更並びに営業の許可、その許可の取消し及びその制限」について、親権を行う者と同一の権利義務を有すると規定されました(新民法824条の3第1項)。この規定により、監護者が定められた場合は、単独で子の監護及び教育等をすることができます。
 また、監護者以外の親権者は、監護者が身上監護に関する行為をすることを妨げてはならないと規定されました(新民法824条の3第2項)。これは、監護者以外の親権者が身上監護をする権限を完全に失うわけではないことを前提に、抵触する場合の優先関係を明らかにしたものです。監護者以外の親権者は、親子交流の際などに、監護者による監護教育を妨げない範囲で、日常の行為をすることができます。
 もっとも、新民法によって規定される監護者の権利義務の対象は、あくまでも「身上監護」に属する事項であり、法定代理権の行使については対象外です。共同親権の場合において、父母の一方を監護者と定めたとしても、法定代理権等は原則として共同行使が必要となります。

2.「監護の分掌」(新民法766条1項)について————————

 今回の法改正では新たに、「監護の分掌」という制度が規定されました(新民法766条1項)。この「監護の分掌」については、大きく分けて「期間の分掌」「事項の分掌」の2つがあります。

(1)期間の分掌(交代監護)

 期間の分掌とは、例えば、平日は父母の一方が、休日は他方がそれぞれ子の監護を担うというように、子の監護を担当する期間を分担して交替で監護する仕組みです。
 分掌期間中は、日常の行為については単独で行うことができます。期間後も影響が継続するような重大な行為については、子の利益のため急迫の事情があるときを除き、単独で行うことはできず、他方の親と共同で行う必要があります。
 期間の分掌は、父母が一定の期間ごとに子を交替監護するため、父母において緊密に協力し合える関係を安定して継続できることが不可欠です。実務においては、父母の住居間の距離や移動時間、子の年齢や心身の状況、環境の変化への適応性など様々な事情を考慮したうえで、交代監護の必要性・相当性が検討されて実施されることになると考えられています。

(2)事項の分掌

 「教育に関する事項」や「医療に関する事項」など、特定の事項についてのみ、子の身上監護の権限を父母の一方に委ねる仕組みです。分掌された事項に関する限り、日常の行為に当たらない重大な行為も含めて単独で行うことができます。
 繰り返しになりますが、監護権はあくまで「身上監護」に関するものであり、法定代理権の行使は対象外です。したがって、「教育に関する事項」の分掌者であっても、共同親権の場合、子を代理して学校と在学契約を締結する場合は単独ではできず、原則として他方の親権者と共同で行うか、後で述べる「特定の事項に係る親権行使者の指定」(新民法824条の2第3項)の申立てが必要です。

(3)実務上の懸念点

 実務家的視点からすれば、当事者間に紛争がある場合、期間の分掌(交代監護)については、実際に審判で定めるのは少し無理があるのではないかと思います。というのも、上記のとおり、期間の分掌には互いの協力関係が必要で、学校行事、習い事、生活の細かい調整まで含めて緊密な連絡が前提となるところ、そもそも紛争になって家庭裁判所に来ている当事者にそれができるのか疑問を持たざるを得ません。当事者間で調整ができないにもかかわらず、裁判所が「第1週・第3週は父、第2週・第4週は母」などと審判で決めても、実際にワークするのかは疑問です。
 また、共同親権+監護の分掌にしたとしても、主たる監護者を明確にしておかないと、結局のところ期間外や事項外についてどちらが監護するのかという点で紛争が生じる可能性があり、火種が残り続け、子どもの生活が不安定になるのではないかとも思われます。

 

3.特定の事項に係る親権行使者指定————————

(1)概要

 新民法では、子の監護について、これまで述べてきた「監護者の定め」や「監護の分掌(新民法766条1項)」の他に、「特定の事項に係る親権行使者の指定」(新民法824条の2第3項)についての規定も新設され、申立人には複数の選択肢が用意されました。
  「特定の事項に係る親権行使者の指定」とは、親権の単独行使が許容される場合(同824条の2第1項、同2項)を除いて、特定の事項に係る親権の行使について、父母間に協議が調わない場合において、子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所が、父又は母の請求により、当該事項に係る親権の行使を父母の一方が単独ですることができる旨を定めることができるという手続きです(同3項)。
 この手続きがあることから、父母間で子の監護教育等について争いがある場合でも、本当に包括的・優先的な権限を持つ監護者を定める必要があるのかを慎重に検討することが求められると考えられています。この点については、例えば、父母共に子との同居を希望しており、子と同居する親が定まればこの監護教育等をめぐる対立状態が解消することが具体的に見込まれる場合は、子の居所の指定に係る親権行使者を定めれば足り、監護者を定める必要まではないと考えられるとする見解もあります。

(2)実務上の懸念点

 もっとも、監護者指定、監護の分掌、特定事項に係る親権行使者指定などが制度設計としては整理されていても、どれを申し立てるべきか・裁判所がどう判断すべきかが未だ不明確と言わざるを得ません。
 また、従来であれば、監護者指定や親子(面会)交流等で処理できていたものが、個別具体的に事項の分掌や親権行使者の指定又は期間の分掌をする必要が生じることにより、争点が不必要に広がるのではないかという懸念もあります。

おわりに

 改正家族法により、子の監護方法の選択肢が広がった一方で、制度が複雑化しました。子の監護方法について改正家族法上のどの制度を利用すべきかお悩みの方は、弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

弁護士(第二東京弁護士会所属) 東谷 惇矢

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