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【発達障害と夫婦不和】第1章 アスペルガーの夫をもった妻のたどる道のり①~アスペルガー夫の特徴とは~

2023.09.13
更新:2023.09.12

リーブラ相談室では、月に1回の「夫婦・家庭問題専門相談日」を設けています。離婚や別居、夫婦関係の不和、それに伴う子どもへの影響や子どもへの対応などのご相談を受けている元家裁調査官(臨床心理士)が、皆様のご相談のヒントとなる情報をコラム形式でお伝えしています。

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 「発達障害」という言葉をよく聞くようになりました。大人の発達障害。どんなイメージを持っているでしょうか?「発達障害」とは、自閉症スペクトラム(ASD、アスペルガー症候群など)、ADHD、学習障害など、脳機能の発達に関する障害のことをいいます。

 今回は「発達障害と夫婦の不和」について取り上げたいと思いますが、私は医者ではありません。臨床心理士の資格は持っていますが、大した知識はありません。しかし、毎日のように夫婦問題のご相談を受けるなかで、たくさんの方々のお悩みに触れてきました。本コラムでは、「医学的」な観点ではなく、私の実体験としての「発達障害夫婦」についてお伝えしたいと思います。中でも、特によく聞かれるのが「アスペルガー」と「ADHD(注意欠陥・多動障害)」です。この二つの発達障害が関係する夫婦の関係性について、これから4章シリーズでお伝えしたいと思います。

  【第1章】「アスペルガーの夫を持った妻のたどる道のり」では、①アスペルガーの夫の特徴(今回)、②そんな夫がアスペルガーであると気付いた妻が行きつく先はどこなのか、の2回に分けてお伝えします。

第1章 アスペルガーの夫を持った妻のたどる道のり①
アスペルガーの夫の特徴

アスペルガーの夫との意思疎通に悩む妻

 アスペルガー症候群は男女比率に明確に差があり、男性の方が女性の4倍多いと言われています。そのため、多くは「夫のアスペルガーに悩む妻」という構図になります。まずは、アスペルガーの夫によくある特徴について、実際に妻から語られることとあわせてみていきましょう。

<コミュニケーションが取りづらい> 
 交際中は、「何だかクールな人だな」「シャイなのかな」と思ったり、ちょっと変わった面白い人との印象を持つことが多いようです。しかし、結婚して生活を共にし始めると、そんな風にプラスに考えられなくなってきます。結婚生活ともなれば、家を決めたり、子どもを育てたり、大切なことがたくさん出てきますので、良好な意思疎通がなければ生活はできません。しかし、家族の大切なことを相談しても「生返事で積極的に考えてくれない」「無表情なことが多く、何を考えているか分からない」「部屋にこもりがちで接触機会が少ない」といったことになるのです。よく皆さんから聞かれるのは、一緒に家族運営したいのに、何だかひとりぼっちで頑張っているような気がする、という声です。

<こだわりが強い>
 アスペルガーの特徴のひとつにこだわりの強さがあります。「こだわりのある男って何だかかっこいいわ」と思われるかもしれませんが、生活を共にしているとそんなに悠長なことも言っていられません。どこに「こだわり」が出るかは人それぞれ。
 例えば、「食」へのこだわりです。同じものを好んでずっと食べ続けたり、「熱いものは嫌」「冷たいものは嫌」と温度へのこだわりがある人もいます。食べる順序や時間にもこだわりが強い人もいて、「決まった時間に食事が用意されていない。」「汁物がないと食事とは言えない」などと怒ってしまうこともあります。また、決して綺麗好きなわけではないけれど、物の整理の仕方や置き場所にこだわる人もいます。善意で夫の物を片付けたり整理したりすると、怒られてしまうのです。生活のルーティンにこだわりがある人もいます。何時に起きて、何時に食事をとって、就寝は何時、といった具合です。子どもができると大人の生活も一変するものですが、アスペルガーの夫はこれを受け入れません。夜間に泣き続ける子どもを見て、「おい、俺はもう寝る時間だから静かにさせてくれ」などと言われ、妻は腹が立つやら悲しいやら、何とも言えない気持ちになるのです。

<空気の読めなさからくる対人不和>
 「空気が読めない」「察してくれない」も本当によくある訴えです。言わなくても分かって!は通用しませんし、相手(妻)が何を望んでいるかを考え、その考えに沿うような言動も期待できません。そのため、妻は夫から「思いやってもらっている」という感覚を持ちにくくなり、「理解されない」「気持ちを分かってくれない」「尊重してもらえない」といった不満につながります。そして、この「空気の読めなさ」は妻以外の人との関係にも影響を及ぼします。例えば、親族で集まった際、両親が元気なうちにみんなで旅行に行こう!と盛り上がっていても、アスペルガーの夫は「僕は集団行動が苦手なので遠慮します。」と言います。「周囲に迷惑をかけたくない」という思いかもしれませんが、そもそも「自分だけ行かないと言うと水を差すかな」という感覚がありません。一事が万事、こんな会話が進んでいきますので、相手が気分を害してしまったりするのです。

<知的に高く、威圧感がある>
 アスペルガーは何かひとつの分野に秀でていたりして、知的レベルが高い人が少なくありません。ただ、頭がいい・仕事ができるからといって、伝えるのが上手であったり、相手を理解しているか、とは異なります。相手が理解を示さないとイライラしたり、高圧的な態度を取ったり、相手を言い負かしたりします。そのような経営者、専門的技術者、士(師)業、外資系有名企業など社会的に成功している方も見てきました。収入も高いが、高圧的で他人の意見を聞き入れないといった夫が典型例です。

 さて、アスペルガー症候群の夫の特徴について述べました。「発達障害」というと、学習障害があるように思っている方もいるかもしれませんが、アスペルガーの場合は知的レベルが高い方も多く、「頭がいいから夫が悪いわけがない。私が悪いのか・・」と思う妻もいるでしょう。また、あくまでもすべてが当てはまったからといって、「アスペルガー症候群である」と決まったわけではないこともご承知おきください。

 次回は第1章の続き「アスペルガーの夫をもった妻のたどる道のり②‐夫がアスペルガーであると気付いた妻が行きつく先‐」について、お伝えします。

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コラムを読んで「あれ?自分のこと?」「誰かに相談してみたい」と思われた方、一般相談(月~土)や夫婦・家庭問題専門相談(月1回)では、専門家が相談を受けています。まずは、相談室までお電話にてご連絡くださいね。

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